坐骨神経痛

坐骨神経痛は、殿部から下腿の後面と外側面および足の外側面に広がる痛みです。
診断名ではありません。

坐骨神経損傷による坐骨神経痛

坐骨神経やその枝の損傷は、坐骨神経痛の原因になります。

坐骨神経は、椎間円板のヘルニア、股関節脱臼、腰椎や仙骨の骨関節炎、妊娠中の子宮による圧迫、殿部への不適切な注射など、様々な原因で損傷することがあります。

坐骨神経損傷の中で、もっとも多いのが、坐骨神経の主枝である総腓骨神経の損傷で、腓骨骨折やギプスや副木による圧迫などで起ります。総腓骨神経が傷害されると、足が底屈した状態になり、背屈できなくなります。この状態は下垂足と呼ばれます。また、足が内反した状態となり、内反尖足と呼ばれることもあります。さらに、下腿から足背にかけての前外側面の感覚障害も起ります。

坐骨神経のもう1つの主枝である脛骨神経の傷害では、足が背屈して外反した状態になり、外反踵足と呼ばれます。足底の感覚の喪失も起ります。

神経根圧迫による坐骨神経痛

神経根圧迫による坐骨神経痛には、神経根圧迫による軸性坐骨神経痛と、神経根より遠位の部位での神経絞扼による四肢性坐骨神経痛の2つのタイプがあります。
次の3つのうち1つでも当てはまれば、軸性坐骨神経痛の可能性があります。
(1)臀部や大腿部の痛みを伴った腰痛。
(2)坐骨神経性の脊柱側弯症があり、痛みを軽減するため健側に側屈し患側に体重がかかるのを避ける。
(3)下肢伸展挙上テストで陽性。
以上。

坐骨神経の走行

軸性坐骨神経痛

軸性坐骨神経痛は、第1腰椎から第3仙骨神経の椎間孔の狭窄による神経根圧迫により生じます。
多くの場合、四肢性坐骨神経痛も伴います。

椎間孔狭窄の原因は、
腰椎椎間板ヘルニア、
腰椎椎間板の膨隆、
腰椎椎間板の変性、
腰部脊柱管狭窄、
仙骨不安定性、
脊椎すべり症、
椎間孔や脊柱管内にカルシウムが沈着することによる狭窄、
妊娠後期の姿勢による負荷、
などです。

四肢性坐骨神経痛

四肢性坐骨神経痛は、神経根より遠位の部位での神経絞扼に起因します。

神経絞扼の部位は、通常、軟部組織で、
梨状筋(梨状筋症候群)、
大腿方形筋と大殿筋の間、
大腿二頭筋と大内転筋の間にある筋間中隔、
などです。

坐骨神経の軟部組織による絞扼、股関節の外旋筋、ハムストリングスと大内転筋の間

軟部組織以外の神経絞扼では、
ズボンの後ろポケットに財布などを入れ長時間座ることで坐骨神経を圧迫する、
座る際に股関節屈曲制限や骨盤後傾の姿勢による負荷、
車の運転でペダルを踏むことによる下肢への負荷、
長時間の反復運動を行うエクササイズにより、梨状筋や他の股関節回旋筋、ハムストリングスなどが過剰に発達(肥大や増大)、
妊娠と出産に伴う組織構造の変化、
坐骨神経への直接的な外傷、腫瘍、感染症、瘢痕、隣接する軟部組織の肥厚、
などが挙げられます。

坐骨神経痛の整体施術

整体では坐骨神経の走行路の問題を見つけて解消します。
問題とは、関節の可動制限により神経が圧迫されていたり、
筋膜の癒着により神経が伸長されていたりすることです。

そういった問題を取り除き、坐骨神経の走行路を正常化することで、坐骨神経が正常に機能し痛みが解消または軽減されます。

軸性坐骨神経痛がある場合は、
痛みがゼロになることは難しいかもしれません。
通常、四肢性坐骨神経痛も伴っていますので、そこからくる分の痛みは軽減されると思います。

妊娠中は施術適応外です(妊娠により姿勢が変わり一時的に坐骨神経痛が出ている可能性があります)。