日常の動作で、座っていると尾骨が痛い、歩くと尾骨が痛くなる、寝るとき尾骨が当たって痛いなど、
尾骨の痛みの原因とその対処法などをご紹介しています。
尾骨の場所
尾てい骨(尾骨)は、仙骨の下に付いている骨で、尻の真ん中、肛門の後ろに位置している出っ張った骨です。
仙骨と尾てい骨を混同されている方が多いので、図を載せておきます。
病気やケガが原因の尾骨痛
骨折、打撲
『お尻をぶつけた』、『尻餅をついた』後から痛い場合は、打撲して尾骨周辺の組織が内出血を起こし腫れているか、尾てい骨にヒビが入っている(骨折)可能性があります。
痛みのキッカケが打撲の場合は、念のため整形外科を受診することをお勧めします。
腫瘍
寝るときに痛む、常に痛みがある、痛みの他にしびれなどもある、
などの場合は、
腫瘍が原因の可能性もあります、早めに整形外科を受診することをお勧めします。
多裂筋の拘縮と殿筋の衰えからくる尾骨痛
多裂筋が緊張拘縮などで短縮していると骨盤が前傾し後傾できなくなります。
通常、リラックスして椅子に座る場合など、腰が丸くなって骨盤が後傾し尾骨の上の仙骨に体重がかかり、かつお尻の筋肉(殿筋)がクッションになります。
骨盤が後傾できないと尾骨に体重がかかり、かつ殿筋が衰えてクッションの役目を果たせないと、負荷が尾骨に集中してしまいます。
座面の軟らかい椅子に座るか、椅子の下にドーナッツ型のクッションを敷くと痛みが和らぎます。
また、仰向けに寝る場合も、多裂筋が拘縮していると、骨盤が前傾し尾骨と床との当りが強くなり時間の経過とともに痛みが強くなると考えられます。
この場合、腰と床の間に隙間ができます。
骨盤や腰椎が原因の尾骨痛
尾骨が後ろに出っ張っている
仙骨が寛骨(仙骨を挟む骨盤の左右の骨)に対して前に傾いていると尾骨は後ろに出ます。
骨盤の前傾と同様に、尾骨と床や椅子の座面との当たりが強くなり痛みを引き起こします。
何らかの原因により、
仙骨だけが前傾してしまった場合に、尾骨が後ろに出っ張る形になります。
仙骨前傾の原因として多いのは、
出産の際、骨盤が緩みますが、胎児が産道を通るとき仙骨を前傾させ、産後そのま固まってしまったというものです。
帝王切開の場合でも、骨盤は緩みます。この時期に悪い姿勢をしていると骨盤は歪みます。
他に考えられる原因としては、
日常的に、骨盤後傾のテンションがかかっている状態で、上体を前傾させるような姿勢をとっている。
例えば、座面の奥が低く傾いているイスに、背筋を伸ばして座っていると、尾てい骨が後ろに出っ張る原因になります。
骨盤全体が前傾する場合は、坐骨も後ろに出ているため、お尻全体の当たりが強くなることがあります。
仙腸関節と腰椎椎間関節が固まっている
仙腸関節と腰椎椎間関節が機能障害を起こし可動性が無くなっている場合、
寝る体勢や座り方によって、尾骨が床面や座面に当たったとき、負荷を仙腸関節や腰椎椎間関節で吸収できず、尾骨や仙骨下端の当りが強くなります。
仙腸関節や腰椎椎間関節が機能障害を起こしている場合、尾骨の痛みや違和感いがいにも肛門周りに『もわー』っとた違和感がでることがあります。
靭帯や筋肉の痛み
肛門の周辺には、骨盤の下を支える靭帯、膜(骨盤隔膜)、筋肉などがあります。
それらの組織のいくつかは、尾骨に付着しています。
骨盤が歪むことで、それらの組織によって尾骨が牽引され痛みがでることも考えられます。
また、
骨盤隔膜には、大内転筋や長内転筋、後脛骨筋(腓腹筋の奥にある筋肉)など下肢の筋肉の筋膜や、横隔膜、斜角筋(首と肋骨を繋ぐ筋肉)など骨盤から離れた部位の筋肉の筋膜も繋がっています。
そのため、『首の歪みが原因で尾骨に痛みがでる』という可能性もゼロではありません。
大殿筋トリガーポイントの関連痛
大殿筋トリガーポイントの関連痛領域には尾骨が含まれ、尾骨痛と誤って診断されることがあります。
トリガーポイントの関連痛については、大殿筋トリガーポイントをご覧ください。